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Guitars

ジャンゴとくればまず目を引くのはあの小さな楕円のサウンドホールのギターですね。ジャンゴが愛用したのはセルマー・マカフェリ、またはセルマーというギターです。セルマーというのはサックスで有名なあのセルマーです。昔はギターも作ってたんですね。ジャンゴ好きの多くはマカフェリタイプのギターが好きです。ジプシースタイルをやるならばこのタイプのギターを手に入れたいものです。ここではジプシースタイルに用いられるギターについて書きたいと思います。

◆ジプシーのギターついて

 ジプシーのギターと言えばずばりセルマー、マカフェリでしょう。私は幸運にもセルマーを手に入れることができましたが普通はまず本物に遭遇する機会はないでしょう。そこでコピーモデルということになるのですがここではマカフェリタイプのギターの特徴を書こうと思います。
 まずはサウンドホールの形状が目を引くと思いますが重要なのはテイルピース(弦の止め方)とトップの形状だと思います。普通フォークギターはブリッジをトップに貼り付けてそこに弦を固定しています。クラシックギターもそうですね。マカフェリタイプ(ナイロン弦を除く)はギターの下部にネジ止めされたテイルピースに弦を固定していて、ブリッジは弦とトップに挟まった状態となっています。アーチドトップのジャズギターなどはだいたい同様になっていますね。あとトップの形状ですがフラットとなっています。よく見るとブリッジ辺りを中心に盛り上がっていますが、削り出したのではなくフラットの板を変形させているのです。
 なぜこれらの特徴がジプシースタイルに向くのかというと、弦をストップドにしないことによりブリッジにおける弦の角度がゆるくなり、ブリッジ付近での強力なピッキングに対応できるテンションが得られていると思います。また角度のきついフォークギターに比べてサスティーンが得られるためソロ弾きに向いていると思います。テンションが減る分ボディに伝わる振動は減り、瞬発力は減ることになりますがピッキングの位置、強さによりアクセントを失うことはありません。この辺の作りの上ではアーチドトップのピックギターは少なくともフォークギターよりはジプシー向きと思われます。しかし私の経験上アーチドトップは音が硬く音量も少なめな気がします。からっと乾いていてこれはこれで良いのですが、ジプシースタイルではコードの深い響きもとても重要です。そこでやはりトップはよく振動するフラットが選ばれるのではないでしょうか。フラットトップとノンストップドによる、サスティーン、ブリッジ付近の張力、ボディの響きのバランスがマカフェリタイプのギターの特徴ではないだろうかと思います。
◆海外の個人製作家(ルシアー)への特別注文について
ジャン研メンバーのSleepyさんによるオランダの個人製作家Bergeijk氏への特別注文のレポートです。言葉の壁もあり不安要素ばかり考えがちな海外発注ですが実はそんなに難しくもなく楽しいことがいっぱいあるんですね!これはとてもためになります。丁寧にレポートしてくださったSleepyさんに感謝します。レポートへ
◆SELMER
  1. Selmer Model"Jazz"
    以下にN.itoが所有しているセルマーモデルジャズ(シリアル7百番台)について特徴を挙げます
    ヘッド
    ●ネック
     ウォルナット。割と太いです。かまぼこ型。
    ●指板
     厚みのあるエボニーです。アールほんの僅かですが付いてます
    ●フレット
     オリジナルかどうか解りませんがクラシックギターのような四角型です。→減ってしまったので2003.5に替えました。
    トップ
     スプルース単板でブレースによりブリッジ辺りがかなり盛上がっています。サウンドホール周辺はやや落ちて凹んでいます。現存するselmerは殆どこうなっていると聞きます。ブリッジ両サイドのヒゲ先のあたりでトップは僅かに折り目が付いています。
    トップのブレーシング
     手探りで調べたので幾分異なっているかもしれません。太い線の部分は他に比べて厚みが薄くて幅があります。
    ●サイド
     ローズウッド合板。ボディ内部のサイドとバックのつなぎの部分に沿って貼られている木には切り込みがありません。
    バック
     合板(外側にハカランダ、内側にメイプル使用)。ブックマッチドでV字形に合わせています。
    チューニング・マシン
     ギア部はカバードされています(50年外してないのだろうか?)。ペグは木製・プラスチック製等3種類ほどあってどれがオリジナルなのか不明です。
    ●ブリッジ
     2つ付いていましたがオリジナルかどうか不明です。現在使用しているものは2本足で接地するもので(恐らく)牛骨のバーが入っています。これはオリジナルではないでしょう。もう1つはエボニーで下面全体で接地するもので内部にアルミのバーが入っているように見えます。これは見た目からオリジナルかもしれませんが下面を削ったせいかやや弦高が低く難ありです。接地面は完全にはフィットしてないのですが鳴りの方はこちらの方がよい気がします。→2003.5にデュポンのものへ変更。
    テイルピース
     真鍮製で案外薄いです。角の曲がった部分は真中が抜かれており本来ここにはフェルトが敷かれているはずなのですがありません。真鍮がボディに食い込んでおり50年の歳月を感じさせます。またここの真鍮は非常にきゃしゃで50年折れなかったのが不思議なくらいです。テイルピースの裏面にボディの膨らみが接しており振動を妨げています。改善したいポイントです。→2003.5リフレットにより改善されて膨らみと接さなくなりました。
    ラベル
     マカフェリがセルマー社を去った後なのでM.Maccaferriの文字が塗り潰されています。シリアルナンバーが両脇にスタンプされています。マカフェリ以降のモデル・ジャズは推定600本と言われており、これはその内の弾ける状態で現存する貴重な1本です。
    ●重量
     とにかく軽いです。全てのパーツはボディの振動を妨げないよう神経が使われているようです。このギターの基本的な設計方針はこれだと思います。
    ●サウンド
     力強いピッキングによく応えて鳴ってくれます。ピッキング時の音質は硬いですがその後はリバーブが絡み柔らかく伸びていきます。コードの響きはピッキングからやや遅れてグワ〜ンとボディが鳴ってくる感じがしてジャンゴが「ピアノのようだ」と絶賛したのが解る気がします。12fあたりのハイ・トーンは柔らかく艶があります。ボディは無駄な残音が無くコードのカッティングもまとまりがあってキレがよいです。

◆コピーモデル等
1.Jacques FAVINO
2.Maurice Dupont VR/VRB
3.JOHN LE VOI
4.SAGA
5.Big Sound
6.SAGA GITANE
7.AT Guitars


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1.Jacques FAVINO〈by栗林さん〉
Jacques FAVINO

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2.Maurice Dupont VR/VRBについて(by ののさん)
Maurice Dupont VR/VRB

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3.JOHN LE VOI(ル・ヴォワ)
JOHN LE VOI

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4.SAGA

以下にN.itoが所有しているSAGA BM-500STについて特徴を挙げます。いろいろと評価の低いSAGAでございますが、個人的にはまずまずのお気に入りです。見た目も音も大味ですが力強いピッキングにはしっかり応えてくれます。

[SAGA改造記録](2002.12〜2003.1)
SAGA BM-500STを雀ドーレ・ナカフェリさんに改造してもらいました!
以前に自分で改造を試みたのですが、グラインダーで雑にガンガンいったためキズだらけになってしまいました。特にサイドは単板だと思ったら合板だったので思いっきりキズが目立ってしまいました。このようなボロボロの状態から非常に美しく仕上げてくださったナカフェリさん、感謝感激しております。ありがとうございました!

naccaferri (カスタムSAGA by 雀ドーレ・ナカフェリ)
・サイドバック&トップの研磨
 塗装を剥がしはじめましたが、サイドの状態は非常に厳しいです。エボニーを貼り付けようと思って数箇所試してみましたが、あまりいい状態では無かったので木パテを仕様することにしました。
補修ツール
このパテは木の削り粉をパテにしたものなので、成分は木です。(家具を補修する物)サイドには色の濃い物、トップには色の薄い物を使用します。
トップにパテを塗った状態
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まだ、パテを盛っただけの状態なので色が異なりますが、乾いて研磨するとスプルースの色に近づきます。サイドも同じ要領で補修します。バックはどうやら単板のローズウッドらしいので根性で削ります。(笑)元の塗装は、そうとう厚かったんですね!サンダーを使用したくなるのがわかります(笑)ヘッドの塗装を剥がすのに挫けそうになりました(笑)

・ブリッヂ
 ブリッヂはエボニー材から削り出して、製作しました。黒のステインで色を付けました。元のブリッヂの高さより若干高めにしたので仕上がってから、調整しようかと思ってます。
ブリッヂ
この後、作り直し、最終的にはステインなしのブリッヂとなりました。

・ヘッド
 ヘッドは要望どうり黒でペグヘッドプレートを塗ろうと思っています。SAGAはザグリがあまいので弦がモロに当たってましたので、ザグリを入れ直しました。

・ホール拡張
セルマーのホールサイズは縦70mm×横54?
SAGAのサイズは縦70mm×横50?
といった具合でSAGAのホールは小さいんですよね!ちょっと見た目が、のっぺりして見えるのでセルマーと同じく横幅を54?としました。(ちなみにDELLは縦70?×横60?とかなり大きいです。)一応セルマー本(シャルル版)を最近購入し、本の中にホールサイズが記されてましたのでそれを参考にしました。

・塗装
 今回もGITANE同様セラックで下塗りラッカーで上塗りをしました。トップの材がGITANEよりもかなり良い材を使っているので色の入り具合が全く違いました。凄くいい感じの色になりました。トップのカッタウェイ側で一箇所へこみ(削りが深かった)があり、削り補修・塗装で修正しようと試みたのですが、イマイチでした。ちょっとラッカーのデコボコがまだ残ってますんで気になられるようでしたらコンパウンド等で補修してみて下さい。ローズウッドの目止めがイマイチセラックが入って行かなかったので目地がくっきり入っています。コンパウンドで研磨した際、コンパウンドが目地に入って取れなくなってかなり往生しました。柑橘系のポリッシュで落としました。

・テールピース
 最初ボディに直接テールピースを付けて見たんですが、ボディに食い込んだので(Itoさんのセルマーのような状態)フェルトを挟みました。

・弦高は
かなり高くしてあります。元々より若干高いかもしれませんが、削って調整してみて下さい。一応ブリッヂ上での弦間は11mmピッチにしてあります。(※弦の中心を基準にしたピッチ)

完成!
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・雀ドーレ・ナカフェリさんへ (n.ito)
 あのギターがここまで変貌を遂げるとは・・!
ヘッドの感じ、テイルピース、ボディの艶も申し分ないです。ヘッドの塗装剥がしはさぞかし面倒な作業だったでしょうm(__)m。ヘッド表面の黒塗りもいい感じでSAGAのダサダサ感が取れました。ヒゲとブリッジはあまりに美しいです。ロッドカバーも作られたのでしょうか? 元のはもっとショボかったような気がする。特にこれらの加工品の仕上がりはプロ職人の域に達しているのではないでしょうか? シルバーテイルピースと青いフェルトの組み合わせ、そしてちょっとホールの口径を広げたのが効いて、本物指向の渋い感じがでてます。弦高はこのままでバッチリな感じなので加工する必要はありません。高級弦も張って頂き、ほとんすんませんです。補修もつまらん作業だったと思いますがよくやって頂きました。ツルっとした手触りも戻り、これで誰も「ゴミ箱から拾ってきたギター」と言わなくなるでしょう〜 以前はよく言われた(笑) サウンドは当然SAGAの個性のままですが、2、3弦が更に鳴るようになった気がします。低音はあいかわらず出ませんね。マカフェリタイプをもう一本買おうかと思っていたのですがこのナカフェリで行けそうです。使う機会は多いです。そのたびに「このギターは何?」と聞かれるだろうからナカフェリの名は広まって行くでしょう(笑)



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5.Big Sound>〈Gerrit van Bergeijk/オランダのギター製作家〉

Big Sound〈Gerrit van Bergeijk/オランダのギター製作家〉

 海外特注のレポートにも登場しているベルゲイク氏の手工ギターです。見るからに"Big Sound"が出そうな風貌、私が非常に注目しているギターなのです。
 ストリート演奏の機会が多いこのテの音楽には楽器の音量は非常に重要な要素です。こう言っちゃなんですが多少いまいちな演奏でも音量があれば人だかりができます。逆にいくら良い演奏でも小音量では見向きもされません。特にアコースティックギターの音は線が細いので通りが悪く、風が吹いただけで消されてしまうほどです。
 ベルゲイク氏は音量に対しあらゆる角度から検討・工夫を行い従来のスタイルにしばられない新しいギター"Big Sound"を完成させました。
 以下にベルゲイク氏による紹介文の訳を載せます。
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「大音量、そして完璧なバランスを求める演奏者のために私が製作するのが、この《ビッグサウンド》です。細部にわたり、音量増大に焦点をあてた設計がなされています。

・ブリッジまわりを鳴らしきるための、ごく軽量なスプルース・トップと、サウンドホールの配置。
・振動のロスを防ぐ、きわめて堅牢なバックとサイドの構造。
・ごく軽量なブリッジ。
・他、内部にさまざまな工夫が凝らされています。

オーヴァルホールの《ビッグサウンド》も製作可能です。ブリッジまわりの面積を確保するため、サウンドホールは、通常よりやや高く配置されます。

 二種の《ビッグサウンド》は、いずれも一見やや奇妙な楽器ですが、ホットクラブ・ナンバーの演奏にも、自分の演奏にジャンゴ風味を加えたいというギタリストにも、最高のギターであることを自負しています。――Gerrit van Bergeijk――」
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※ベルゲイク氏のサイトへはlinkから行けます

●Bergeijkギターを所有されるSleepyさんのお話

「サイトにグラン・ブシェの画像が見当たらなかったので、『Dホールは嫌いですか?』とメールで訊ねたら、2000年の自信作として送ってくれたのが、“逆さチェシャ猫”の画像です。価格はレギュラーモデルとそう変わらないようで、なんで俺が注文する前に見せんか、と激情にかられたあまりitoさんに画像を転送したら、 itoさんも『弾きたい!』と返信してくださったので、自分だけじゃなかった、とホッとしました。
 発想は、バンジョーなんでしょうね。が、堅いサイドとバックに薄いトップを張って……というだけの代物ではないようです。同構造を応用してあるという私の楽器のトップも、厚みはギブソンあたりと変わりませんし。ちらと教えてくれたところによると、弦張力の逃がし方が特殊であるとか。その意味ではクライン・ギターなどに近いのかも。
“逆チェシャ”を携えてサモワのフェスティヴァルに出店したところ、音のほうは好評でプロが購入していくほどだったものの、ルックスは『トラディショナルじゃない』と不評だったそうで、それで開発したのがオーヴァルホール・モデルだそうです。どう見ても“トトロ”ですが。
 実際にBergeijkギターを使ってみて、音量、軽量さ、頑丈さに感心しています。これより音がでかいとしたら、相当なものでは」


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6.SAGA GITANE
外観は本物マカフェリDホールにとても近いと好評なDホール12fのSAGA GITANEです。音は低音がよく出て音量もあります。10万以下で見た目重視なら候補の筆頭ですね。ただ不評なのは艶消しの仕上げです。ジャン研メンバの雀氏によるカスタムGITANEを次に紹介します。
●SAGA GITANE(改) by 雀
・塗装
マット塗装は薄かったので気合を入れれば1日で剥がせます。紙やすり#240〜400で塗装を剥がしました。塗装を失敗して薄利材も使用しましたが最終的には#400のペーパーで表面を慣らしました。削り粉を綺麗にふき取りやっと塗装が出来る状態になりました。セラック(アルコールで溶かしてあるもの)をシンナー系薄め液で薄めてトップ板のみ3〜4回刷毛塗りしました。完全に乾いてから全体をラッカー(ニトロセルロース)をエアーガンで塗布し、乾燥させてから#400〜1500の耐水ペーパーで空磨ぎしてコンパウンド粗め〜極目で磨いてとりあえず塗装は終了。顔が映りこむ程度で磨きはやめましたが機会があればマイクロフィルムなどで磨こうかと思ってます(〜#15000)。サイドバック&ネックは下塗り無しでしかもかなり薄く塗装しました。未研磨で組みましたからマット塗装より若干テカるぐらいですがその内磨こうかと思っております。出来はシダートップのような色合いになりました。
・その他
エボニーパーツを製作したのですがブリッジが低すぎて現在サムピックを挟んで凌いでいます。その内造り直そうかと思っています。

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7.AT Guitars
高野篤さんが制作するセルマー/マカフェリタイプギター。
詳細はこちら→http://www.atguitars.com/